第1章 出会い
ー弟者視点ー
最後の敵を撃ち抜き思わずふぅーと息がこぼれる
さすがに20人ほどを相手するのはきつかったな
仕事が終わったので、トラックにいるはずのおついちさんに
連絡をする
「おついちさん!終わったよぉ。」
「終わったよぉじゃない!暴れまくりやがって!!」
キーンと鼓膜が悲鳴をあげる
「そんなに怒らないでよ。物色するから兄者こっちによこしといてねぇ」
「お前いいかげ」
おついちさんの話を聞き終わらないうちに電話を切る
お小言は後でゆっくり聞き流そう。
「なにかいいものないかなぁ」
床に転がる死体を踏みながら前に進み
一つ一つ部屋を見ていく、目的は
かっこいい武器や金目のものだ
普段はさっと帰るのだが、今回は時間に余裕がある
ゆっくりとあたりを探索すると
牢屋みたいな扉を見つけた
ドアノブに手をかけると容易に開いた。
さっきの戦闘でカギが壊れたのだろう
「おじゃましまぁっす!」
勢いよく中に入ると
人が倒れている
見たところ10歳くらいの女の子だ
死んでいるかと思ったがかすかに息をしている。
「大変だ!」
思わず、兄者の方へ駆け寄る
「兄者!こっちきて!」
「お?どうした?」
「いいから!はやく!」
なんだよと文句を言う兄者の腕をぐいぐいと引っ張る
「女の子が倒れてるんだ!」
二人で少女のもとへ駆け寄る
意識はないが息はしている
「この子、保護したほうがいいかな…?」
「おっつんに怒られるぞ?」
「そうだけど、放っておけないじゃん」
「……しょうがねぇ。連れていくか」
よいしょっと兄者が少女を担ぎ上げる
そのまま、おついちさんが待つトラックへと向かう
……今夜はお小言が多そうだ。