第8章 日常が壊れた日
学校から帰ってくると
部屋が真っ暗だった
おかしい。今日は両親が帰ってくる日のはずだ
いつもなら、お母さんがを抱きしめに来るはず
「ただいまーお母さん?」
とは暗闇に声をかける
「!来ちゃダメ!!」
「……え?」
聞いたこともない母の怒号に
は驚いた
耳を澄ませると部屋で言い争う声が聞こえる
母に何かあったのだと瞬時に理解したは
すぐにリビングの扉を開けた
「お母さん!」
目の前には
血まみれで倒れている父の死体と
銃口を突き付けられる母親の姿
「……っあ……」
恐怖で、声が出なかった
「!逃げなさい!」
逃げようとするが足がすくんで動けない
母に突き付けられていた銃口がの方へ向く
(殺される……!)
次の瞬間、
銃の発砲音が鳴った
しかし、その銃弾はには当たらなかった
ちょうど、を抱きしめるような形で
母が銃弾から守っていたからである
「……行きなさい……はや…く……」
「嫌……」
震えた声でそう言ったが
母はの背中を思い切り押し部屋から追い出した
「早く!!!」
母の声に押されるようには勢いよく
玄関から飛び出す
後ろを見ると
家は真っ赤な炎に包まれていた
「お父さん!お母さん!」
はただ、泣き叫ぶことしかできなかった