第6章 不覚
その日の夕方は兄者の運転するトラックに
乗せてもらった。
トラックの中はこまごまとしたものがいっぱいあって
まるで秘密基地の中みたいだった
おついちに危ないから触っちゃだめだよと言われたが
弟者が
「大丈夫だよ!ちゃん!ほら、見て見て!」
とふざけてガスマスクをにかぶせる
退屈させないためだろうか、弟者は車にあるもので
と一緒に遊んだ
そうこうしているうちに目的地に着いたらしい
辺りはすでに暗くなり始めていて
町には街灯が灯り始めていた
トラックが路肩に止まった
「さ、ちゃん下りようか」
おついちと一緒に車を降りると
目の前にはこじんまりとしたバーが見えた
もっとも、この時にはおしゃれなお店
という認識しかなかった
店の前まで行くと
扉には【CLOSED】
と書かれた看板がかかっていた
が、おついちは何のためらいもなくドアハンドルに
手をかけた
「おついちさん?お店しまってるみたいですよ?」
「大丈夫だよ。このお店の人と仲がいいんだ」