第3章 優しい手
「ところで。お前、いつまでその服着てんの?」
「へ?」
突拍子のない質問には
首を傾げた。
兄者がそう聞くのも無理はない
昨夜、おついちが貸したTシャツは
袖が余り腕まくりをしても勝手に落ちてきていて
裾はひざ下まであり、まるでワンピースみたいになっている
「しょうがないでしょ?昨日洗濯した服があまりにもぼろぼろだったから、とりあえずそれ着てもらってるの」
兄者の疑問に、おついちが返した
「Hm……しょうがねぇ。おっつん買い物行くぞ」
「食材ならまだあるよ?」
「ちげぇよ。の服。このままだとそのうち転ぶぞ」
車のエンジンを入れてくると、
兄者は家の外に出た。
「……服買いに行くって言ったって…この格好じゃちゃん連れていけないでしょ…?」
というおついちの声はきっと兄者には届いていない