第3章 優しい手
「次の仕事は何ですか?」
と少女は尋ねた。
おついちは少し考えてから
「それじゃあ、このコーヒーを兄者に持って行ってくれる?」
熱いから気を付けてねと一言添えて
彼女にマグカップを渡す
はこぼさないように気を付けながら歩く。
先ほど朝ご飯を食べたテーブルでは
兄者が眉間にしわを寄せながら、ノートパソコンとにらめっこをしている。
「兄者さん。コーヒーを持ってきました。」
とマグカップを手渡す。
「おう。ありがとな」
マグカップを受け取ると
兄者さんはまた私の頭を撫でてくれた。
洗い物を始めたはずのおついちさんが
こちらの様子を見ながらにやにやしている
その視線に気づいた兄者さんが
「……なんだよ。おっつん」
と低い声でおついちさんに食いついた
「べぇつにぃ??さっきまでパソコンに向けてた顔とちゃんに向けた顔があまりにも違うからぁ」
私の隣からチッと舌打ちが聞こえてきた。
「あれぇ?無意識だった?さすがはお・に・い・ちゃ・ん」
「てめぇ……コロス……」
「ちゃんの前でそんな汚い言葉使わないでねー」
手をひらひらとさせておついちさんはまた洗い物を始めた。