第4章 蝶屋敷で働く私と炭治郎様の物語〜嫉妬編
蝶屋敷にてー。
最近胸が苦しい。
しばらく任務はお休みだと炭治郎様から聞かされて嬉しいはずなのに。
『…はぁ…』
「またため息なんですか? いい加減にしてください」
『っ⁉︎ ご、ごめんなさいっ』
「まったく、もう休憩時間ですよね?休んできたらどうですか?」
『は、はい、ありがとうございます…っ』
また、アオイさんに迷惑をかけてしまった。
こんなことじゃいけないのに、と気分が沈む。
お休み、と言っても私は仕事があるし、炭治郎様も邪魔はしたくないと言って仕事終わりにしか話さないようにしてくださっている。
だけど少しだけ、炭治郎様に会いたくなった。
この時間は鍛錬しているから広場にいるはず、と広場へ向かった。
だけど行かなきゃ良かったと思うはめになる。
『…た、』
広場には思った通り炭治郎様がいて、炭治郎様、と声をかけようとしたら、隣にはカナヲ様がいた。
それはもう楽しそうに談笑していて、声をかけるのを躊躇うほどに。
この場を見るのは何度かあって、その時と同じぎゅっと胸が苦しくなる。
『…炭治郎様っ…』
私は胸元を抑えながら逃げるようにその場を離れた。
カナヲ様はとてもお優しい方、私にも優しく接してくださるから、こんなこと思ってはいけないのに。
『…炭治郎様のそばにいて欲しくない、なんて…』
「… リルル、ちゅわーん!!」
『…きゃあっ!善逸様っ!?』
ちょうど病室を横切った時に、善逸様に呼び止められた。
炭治郎様と一緒に任務をしている人だ。急に声をかけられてびっくりしてしまった。
『どうかなさったんですか?』
「えへへ、姿が見えたから声をかけただけだよ〜? リルルちゃんこそどうかしたの? 休憩?」
『はい、少しだけお休みを』
「…? なんだか浮かない顔してるけど…?」
『…えっ!? そ、そんなことないですよっ』
「もしかしてたんじろーになんかされたの!? そうなんでしょ!」
両肩を掴まれて、切羽詰まった感じの気迫で言われる。
『ち、違いますからっ、少し疲れただけでっ』
「ほんと? ちゃんと休まなきゃダメだよ? それとも俺とー」
その時、ぐいっと善逸様との距離を離された。