第1章 蝶屋敷で働く私と炭治郎様の物語〜初夜編
蝶屋敷にてー。
『//た、炭治郎様っ…//』
「どうしたー?」
『あ、あの、そろそろ離してくださいませんかっ?///』
「んー…嫌だ、って言ったらどうする?」
『…えぇっ///』
私は今、病室のベッドで炭治郎様に後ろから抱きしめられていた。
色恋に疎い私は、こういう時どうしたらいいのかわからず、恥ずかしさと戦っていた。
哪吒蜘蛛山での戦いで炭治郎様から一目惚れされて、恋仲になったのはいいものの、私も炭治郎様も忙しくて久しぶりの再会だった。
「…ずっとこのままでいたい…」
『…炭、治郎、さまっ…//』
ぎゅーっと抱きしめる力が強くなる。
「…すんすん、あ、甘い匂いが濃くなった…」
『…っ///は、恥ずかしいのでやめてくださいっ///』
「…リルルの匂い、凄く好きなのに…」
首元を嗅がれてくすぐったい。
「…ねぇ、リルル、こっち向いて」
そう言われるけど、なかなか顔を向けられなかった。
だから炭治郎様に強制的に向かされる。
「…俺の目、見てくれないのか?」
『こ、こんな至近距離で見れません…///』
「…リルルがこんな恥ずかしがりやだったなんて知らなかったな」
炭治郎様の手が私の顎を捉えて、強制的に目を合わせられる。
『…〜っ/// た、たん、じろ…さまっ///』
「…2人の時は、…約束しただろう?」
『……た、炭治郎…さん…』
「うん、よしよし、よくできました」
気がつくと、私は炭治郎様に口付けされていた。
ほんの一瞬のことだけど、私には突然のことすぎて頭が真っ白になった。
『……っ⁉︎///』
「…また、匂いが濃くなった…リルルはどこまで匂いが濃くなるのかな」
『……も、もう意地悪しないでくださいっ///』
顔を見られたくなくて、炭治郎様の胸に顔を寄せた。