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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第11章 【孤独な子供】


 レイブンクロー生で、亡くなったセドリックのガールフレンドでもあったはずだ。てっきりセドリックが亡くなって気落ちしているかと思ったが、意外に元気そうだ。クリス  
「えっと、その……休みはどうだった?」
「ええ。まあまあ、だったわ」

 傍から見ていて、なんとも歯痒い2人だ。もっとこう、スパっと本題に切り込んでいけないものか?そうもやもやしていると、ロンがスパっと2人の間に入り込んだ。

「それトルネードーズのバッジ?」
「え?ええ、そうだけど……?」
「君もにわかってやつ?多いんだよね最近、選手権に勝つようになってからさ」
「ずっと前からファンよ!!」

 憤慨したようにチョウが叫んだ。ロンの後ろで、ハリーが血の気の引いたような顔をしている。
 ハーマイオニーが咄嗟にロンのローブを引っ張って後ろに下がらせたが、時すでに遅し。チョウは「それじゃあ、また」と言って去って行った。

 クリスは可哀想なハリーに向かって、ひそかに両手を組んで天に祈っておいた。

 しかしスネイプの『魔法薬学』の授業が始まると、ますますハリーの為に天に祈りたい気分になった。
 スネイプは地下牢の教室に入って来るや否や、ねっとりとした前髪の隙間から黒い瞳で生徒たちを睨み、今学期の『O・W・L』試験で最優秀の成績を収めたものにしか次なる『N・E・W・T』の試験を受けるべく必要な授業に参加させないとキッパリ断言した。

 これはある意味で嬉しい事でもあったが、問題はそのあとだった。
 スネイプは今日の課題に『安らぎの水薬』の調合を言い渡すと、黒板に写し出された調合法だけを頼りに、早速生徒たちに取り掛からせた。
 そしてこれがまた過去最高と言えるほど、根気と集中力と繊細さが試される厄介な調合だった。

 一応『魔法薬学』を得意とするクリスでさえ、ミスを犯しそうになり、何度か冷や汗をかいた。だが苦労の甲斐あって、授業終了10分前には、スネイプの既述通り、クリスの大なべからは軽い銀色の湯気がゆらゆらと立ち上っていた。
 しかしそれはクリスとハーマイオニーの大なべだけで、他の生徒は良くて灰色、悪くて緑色、もっと悪い事に焦げ臭い黒い煙がプスプス立ち上っていた。

「これは何だ?ポッター」
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