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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第11章 【孤独な子供】


「何もないわ。貴方の事も、ダンブルドアの事も」
「……ハーマイオニー」
「何かしら?クリス」
「その……行方不明者の名前なんて載ってなかったか?クラウス・グレインって……」

 言って後で、クリスは後悔した。載っているはずがない。魔法省はヴォルデモート復活を断じて否定しているし、不穏なニュースを載せるはずがない。
 だが――あの墓場に置き去りにしたままの父がどうなったのか、クリスはそれが知りたかった。

「クリス……」
「ごめん、忘れてくれ。さあ今日から新しい授業だ!時間割は――」

 回って来た時間割表を見て、クリスは「うっ」と言葉を詰まらせた。初日からビンズの『魔法史』とスネイプの『魔法薬学』が続き、さらにトレローニーの『占い学』が2限続き、極めつけがアンブリッジの『闇の魔術に対する防衛術』だ。これはちょっとした地獄を見ることになると、今の時点で予測できた。

「何か対抗策が必要だ」
「「そんな時こそ我らの出番さ!!」」

 このお気楽をすっ飛ばして能天気を地で行く明るい声に、クリスは頭を抱えた。こういう時、大抵この2人の提案は良くない方向に行くのは既に経験済みだ。
 それでもこの2人――毎度おなじみフレッドとジョージは、頭痛の種と一緒にクリス達の前にやって来た。

「授業をサボりたい時には『ずる休みスナックボックス』がおススメだぜ!」
「今ならお安くしときますよ、旦那!」
「誰が旦那だ、どこかへ散れ!」
「おっと、僕たちにそんな口きいて良いのかな?」
「半年後には俺たちに頭を下げることになるぜ?」
「あら?どうして?私ものすごく興味あるわ。あの下らない広告共々、すごくね!」

 ハーマイオニーがにこやかに怒ると、フレッドとジョージは顔を見合わせてすっとぼけた。

「はて?何のことやら?」
「何のことやら、じゃないわよ!あの掲示板の広告!!もう2度と張り出すことは出来ないと思って!!」
「誰が我々の自由を奪う権限を持ってるんだい?」
「監督生である、私とロンよ!」
「僕は持ってない」

 きっちり予防線をはるロンだったが、フレッドもジョージもそんな事は聞いていなかった。
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