第11章 【孤独な子供】
それから4人は大広間に向かった。その途中、ハーマイオニーが「まさにダンブルドアの言うとおりね」と言った。
何が「ダンブルドアの言うとおり」なのかさっぱり分かっていないハリー、ロン、クリスの3人は、顔を見合わせて首をひねったが、それを見たハーマイオニーは呆れたようにため息をついて説明してくれた。
「学期末にダンブルドアが仰っていたでしょう?『例のあの人』は不和と決裂に長け、それに立ち向かうには同じくらい強い信頼と愛情をもって然るべきだと」
学期末は色々在りすぎて、そんな事覚えていろと言う方が無理だった。ぽかんとした3人の顔を見ると、ハーマイオニーは再びため息をついた。
「つまりはダンブルドアと組み分け帽子の言う通りなのよ。結束の時を取り戻せ、内なる力を強固にせよ、4つの寮で力を合わせて危機を乗り切れ。私たちが一丸となって、初めて『例のあの人』に対抗できるのよ」
「出来ればいいさ。でも今は無理だね」
そう言った矢先に、まるで恐ろしい怪物に出会ったかのように、そそくさと足早に前を通り過ぎるレイブンクロー生を見て、ハリーが嘲った。
これには流石のハーマイオニーも三度のため息をつくしかなかった。
大広間に着くと、4人は空いているグリフィンドール席に座った。朝食を取らないクリスは、熱い紅茶にミルクをたっぷり入れて口に運んだ。この時だけは、全ての不安も重圧も忘れて楽になれる。
クリスがゆったりと紅茶を愉しんでいると、バサバサとフクロウたちが手紙や荷物を持って大広間に入って来た。折角の憩いの時間の邪魔されてクリスが眉根を寄せていると、その中の1匹がハーマイオニーの傍にポトリと『日刊預言者新聞』を落とした。
トーストをかじっていたハーマイオニーが、それを見て慌てて代金を払った。
「僕への嫌がらせ?」
「ハリー、少し頭を冷やして。さっきも言ったけど、私達は味方よ。私はただ敵に後れを取りたくないだけ」
「敵って?」
「魔法省、その他諸々」
ハーマイオニーは驚くべき速さで新聞に目を走らせると、乱暴に折りたたんだ。