第7章 【監督生】
その日の夜、厨房のテーブルは豪華な料理で埋め尽くされていた。椅子は片付けられ、それぞれ皿を持って立食パーティ形式での夕食となった。
壁にはおばさんが掲げた深紅の横断幕に『監督生就任おめでとう、ロン&ハーマイオニー』と書かれている。
厨房にはいつものメンバーに加え、ウィーズリーおじさんとビル。それにルーピン先生、トンクス、キングズリー・シャックボルト、ムーディ先生、マンダンガスが集まり、少し窮屈だった。
「皆グラスは持った?それじゃあ、新しい監督生に、乾杯!!」
「「「乾杯ー!!」」」
ロンとハーマイオニーの方にグラスを向け、皆そろって乾杯をした。パーティが始まると、厨房の中は話し声でいっぱいになった。
ロンは買って貰ったばかりの箒を自分の父と兄に自慢し、ハーマイオニーはおばさんとジニーと女同士のお喋りを始めた。
双子はマンダンガスと商売の話で盛り上がり、残りのメンバーはハリーを囲むようにして雑談を始めた。
「いよっ、ハリー!監督生になれなくて残念だったわね」
「いいや、それでこそジェームズの息子だ。私やジェームズはいつも規則を破って罰則ばかり受けていたからな。監督生なんてなるもんじゃない」
トンクスの言葉に、シリウスがハリーの肩に手を乗せ、盛大に笑いながら答えた。その隣ではルーピン先生が苦笑していた。
「それは監督生に選ばれたけど、親友達の悪戯を注意出来なかった私に対する当てこすりかい?シリウス」
「えっ!?せっ、せせせ先生は監督生だったんですか?」
「実はそうなんだ。ダンブルドアが親友達を少しでも大人しくさせられるのではないかと、期待を込めて私を監督生にしたが、見事失敗に終わったよ」
監督生バッジを着けたルーピン先生の学生時代を想像して、クリスはちょっと監督生も良いかも知れないと思い始めた。――2人でお揃いのバッジ……2人の共同作業……想像しただけで涎が出そうだった。
ルーピン先生を見つめながら恍惚状態に陥っていたクリスだったが、突然シリウスがクリスの肩を掴み、グイッと自分の方に寄せた。