• テキストサイズ

ハリー・ポッターと沈黙の天使

第7章 【監督生】


 こんな時、なんて言葉をかけてやれば良いのかクリスには分からなかった。
 ウィーズリーおばさんが持って来てくれた洗濯物を、わざわざ1つ1つ丁寧に畳んでトランクにしまうハリーの後姿を見て、クリスはふと思い立ち、背筋をツツーッと指でなぞった。

「うひゃあああぁぁ!なに!?いきなり何するの!?」
「スマン、ちょっと悪戯したくなった。でも、肩の力は抜けただろ?」

 全く悪びれた様子もなく、クリスがしれっと言うと、ハリーは「君にはかなわない」と言ってため息を吐いた。

「君は……監督生に選ばれなくて、その、悔しくないの?」
「私が?全然。だって私よりハーマイオニーの方が優れているのは明白じゃないか。それに、監督生になると言う事は模範生になると言う事だ。私が生徒の模範になれると思うか?答えはNOだ」

 規則も気しなければ寮点も気にしないクリスが監督生になれたら、それこそ天変地異の前触れだ。
 それに監督生なんて肩書き、生活する上で邪魔になるだけだ。趣味である“人生の役に立たない本”も満足に読めなくなる。そこまで言うと、ハリーがプッと噴き出した。

「そうだね、変な責任を負わされなくて済むしね。うん、そうだよ!」
「そうそう。2人で思いっきりロンとハーマイオニーを手こずらせてやろう」

 クリスが口の端をニヤリと持ち上げると、ハリーもつられてニヤッと笑った。
 どうせならフレッドとジョージから悪戯グッズを横流ししてもらって、派手に暴れてやろうじゃないか。と、2人で話していると、階段をバタバタと上る足音が聞こえて来て、ロンが息を切らせて部屋に戻ってきた。

「間に合った!ママが新型のクリーンスイープを買ってくれるってさ!!」
「おめでとう、良かったね!」
「それじゃあ、私は部屋に戻るぞ。ハリー、話しの続きはまた今夜にでも」

 クククと声をひそめて笑いながら、クリスは部屋から出て行った。
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp