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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第7章 【監督生】


 フレッドとジョージは、顔を見合わせてニヤリと笑うと、ロンに向かって唇をすぼめて顔を近づけた。

「僕達もキスしなくちゃいけないかい?」
「さもないと――罰則かい?」
「止せよ、バカ」
「嗚呼、これで我らの自由気ままな学園生活にも終止符が打たれる日が来たみたいだ」
「なんせこの2人が監督生だからな。気をつけなきゃ“グリフィンドール5点減点!”だもんな!」

 最後に馬鹿笑いをすると、フレッドとジョージは『姿くらまし』をして部屋から消えた。ハーマイオニーは顔を真っ赤にて怒った。

「気にしちゃ駄目よ、ロン。あの2人は僻んでるだけなんだから」
「いや、あの2人は本当に馬鹿にしてるんだよ。前々から『監督生なんて馬鹿がやるんだ』って言ってたし。でも――あの2人は新品の箒なんて持ってない。僕だけだ!ニンバスは無理だろうけど、クリーンスイープの新型を買ってもらえないかな……そうだ、ママに言って、クリーンスイープが良いって言って来よう!!」

 ロンは勢いよく部屋を出て行った。残されたハリー、クリス、ハーマイオニーの間で妙な沈黙が流れる。初めに沈黙を破ったのはハリーだった。

「そうだ!おめでとうハーマイオニー!」
「あっ、ありがとうハリー。えっと、その、お願いがあるんだけど……」
「なに?何でも言って!」
「ヘドウィグを借りても良いかしら?パパとママに監督生に選ばれたって知らせたいの。きっと2人とも凄く喜んでくれると思うから」
「もちろん良いよ!使って!!」

 無理をしている、とクリスは思った。あからさまに態度が明るすぎる。ハーマイオニーもそれを分かっていながら、あえて突っ込まないのだろう。ハーマイオニーはヘドウィグを腕に乗せると、なるべくハリーと目を合わせないようにして部屋を出て行った。

 必然的に残ったクリスとハリーは、何を言えばいいのか分からずお互い黙ったままだった。クリスは絶対に自分なんかが監督生になれない事は分かっていたので、悔しくとも何ともなかったが、ハリーは別だ。
 数々の功績を残し、去年は『三大魔法学校対抗試合』で優勝までした。なのに監督生に選ばれなかった。きっと心の底では嫉妬や嫌悪が渦巻いているだろう。
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