第6章 【寂しがりや】
「私が言うのもなんだが、あまり気にしない方が良いぞ」
「……ありがとう。少しの間ここに居させてもらっても良いか?」
「ハリーの傍の方が良いんじゃないのか?」
「君はあまり男という生き物を分かっていないな。どうせ慰められるなら、男より女の方が良い」
苦笑するシリウスに、クリスはどう反応して良いのか分からなかった。照れる――と言うのも違うし、嬉しい様な、恥ずかしい様な気もする。
取りあえず、少しでも気分が良くなるように、クリスは子守唄を歌いながら優しく頭を撫で続けた。
やがてシリウスは目を閉じ、静かに眠ってしまった。その内クリスも眠くなって、結局その晩もシリウスと同じベッドで眠った。
翌朝、起きると既にシリウスの姿は無かった。クリスは身支度を済ませ、厨房に下りて行くと、ロンとハーマイオニー、フレッドとジョージにジニーがそろって朝食を取っていた。
クリスは空いている席に座って紅茶を注いだ。
「クリス、朝ご飯は何にする?」
「いえ、結構です。紅茶だけで十分ですから」
「駄目よ、朝はしっかり食べなくちゃ!それでなくとも貴女は細いんだから」
そう言って、ウィーズリーおばさんはクリスの目の前にトーストとスクランブルエッグ、ソーセージの山盛りにマッシュポテトとサラダにコーンスープを並べた。
とても食べきれる量じゃないと思ったが、断ると悪いと思い少しづつ用意してもらった朝食を少しずつ口に運んだ。
クリスの胃が満腹になった頃、厨房の扉が勢いよく開いたと思ったら、ハリーがにっこり笑って立っていた。
「無罪だ!無罪放免だよ!!」
「そうこなくっちゃ!!」
誰よりも先にロンが大声で叫んだ。ハーマイオニーは「わあぁ!!」と声を上げ、フレッドとジョージとジニーはテーブルの周りで踊って喜んだ。ウィーズリーおばさんは感激のあまりエプロンに顔を埋めている。
クリスはハリーに向かって微笑んだ。
「良かったな、ハリー!」
「うん!これで何もかも終わった!本当に良かったよ!!」