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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第38章 【忍び寄る魔の手】


 翌朝、朝食の席で、クリスはマクゴナガル先生とハグリッドがどうなったか訊いた。
 マクゴナガル先生は聖マンゴ病院に搬送されたらしい。ハグリッドは襲ってきた5人の内3人を殴って気絶させ、その後どこかへ消え去ったという。
 ハーマイオニーは、多分ダンブルドアの所に行ったんだと言った。

「そもそも、なんでハグリッドを襲ったんだ?」
「アンブリッジは、半人間を憎んでいるのよ」
「自分だってガマガエルと人間のハーフのくせに」

 クリスがそう言うと、他の3人が笑った。
 しかしダンブルドアがいなくなり、マクゴナガル先生まで学校を離れ、ハグリッドも行方不明。なんだか安全だと思っていた学校が、だんだん悪の魔の手に落ちていくような気分だった。

 しかしそんな暗い気分だろうと何だろうと、試験が中止になるなんてことはなかった。
 その日の『魔法薬学』の試験は満足できる成果を残せたが、次の日の『占い学』はハリー、ロン、クリスの誰もが最低だと思える出来栄えだった。

「まあ良いよね。これで二度と誰かの死を予言したりしなくてすむし」

 散々な結果に終わったというのに、ハリーもロンも晴れ晴れとした顔つきだった。
 クリスはフィレンツェの授業が受けられなくなると思うと、ちょっと残念だったが、まあこればかりは仕方がない。
 昼食の席でハーマイオニーと合流すると、ハーマイオニーも『数占い学』で最低の点を取ったと自己申告してきたが、誰もそんな事信じなかった。
 ハーマイオニーが0点を取る日が来たら、きっとそれは世界が滅亡する日だろうと3人は信じて疑わなかった。


 長かった試験も残すところあと1教科となった。
 最後の最後に厄介な『魔法史』が残っており、クリス達4人はこぞって最後の追い込みにかかった。
 クリスは『魔法史』の授業はほとんど寝ていたので、教科書と参考書だけが頼りだった。

 そんなんだから、夜遅くになっても談話室の明かりが消えることはなかった。
 クリスは眠い目をこすりながら、必死になって似た様な歴史人物の名前を、頭の中に叩き込んでいた。
 ちなみにハーマイオニーだけは「脳にも休息が必要」と早めにベッドに入ってしまった。
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