第4章 【大人げない大人】
遂にシリウスもが立ち上がり、テーブルをはさんでウィーズリーおばさんと対峙した。
2人の間には、まさに火花がバチバチと散っているのが見えるようだった。
当人のハリーはと言うと、ロンとハーマイオニーと一緒に何度もシリウスとウィーズリーおばさんの顔を、おろおろしながら交互に見つめていた。
「貴方は何事に対しても責任感が少し薄いと言いたいのよ!だからダンブルドアも貴方が軽率な行動をとらないようこの屋敷に縛り付けているんだわ!」
「今その話しとハリーとの話しは別問題だと私は思うんだがね!」
「シリウスッ!!」
シリウスが大声を出すと、ルーピン先生の厳しい声が部屋中に響いた。これはかなり効果があって、一瞬だがシリウスとウィーズリーおばさんの気がそれた。
その隙に、ルーピン先生が間髪入れずに言葉を発した。
「2人とも座るんだ、子供たちの前でみっともない。これじゃあどちらが子共だか分からないじゃないか」
「その通りだ。モリー、ハリーを心配する気持ちは分かるが、何でもかんでも蓋をして良いと言う問題じゃない。本部に居る以上、ダンブルドアも多少の情報を与えるべきだとお考えのはずだ」
ルーピン先生に続いてウィーズリーおじさんも、努めて穏やかに、且つ威厳を込めて妻を制した。
シリウスとウィーズリーおばさんは口を閉ざし、渋々席に着いた。それを見て、ルーピン先生が静かに言った。
「アーサーの言う通り、私もハリーにはある程度の情報を聞かせた方が良いと思う。勿論、あれもこれもと言うわけではない。だが歪曲された話を誰かから聞かされるよりよっぽど良い」
「そう――皆さんそう言うお考えの様ね。分かったわ、でもひとつ言わせてもらうとすれば、ハリーにとって何が良いか1番考えているのは――」
「ハリーは貴女の息子じゃない」
「息子同然です!!他に誰が――」
「私がいる!」
「「止めないか!!」」
再びシリウスとウィーズリーおばさんの言い争いが勃発し始めると、今度はルーピン先生とウィーズリーおじさんの両名が立ち上がり、大声を張り上げた。