第4章 【大人げない大人】
「俺達だってこの1か月間ほとんどこの屋敷で暮らして、皆から話を聞きだそうと努力した!だけど何にも教えてもらえなかった」
「そうだ!ハリーだけ教えてもらう何て不公平だ!!僕らはもう大人だぜ!?」
「君達が騎士団の内情について教えてもらえなかったのは、君たちのご両親がそう考えたからだ。私の所為じゃない。だがハリーは――」
「ハリーあれこれ教えるかどうかを決めるのは、貴方じゃないわ!!」
ウィーズリーおばさんは持っていたトレーを乱暴にテーブルの上に置いた。顔は真っ赤になり、目が吊り上がっている。
フレッドとジョージが悪戯をした時でさえ、こんな風に怒ったおばさんをクリスは今まで見た事が無かった。
「ダンブルドアが仰っていたでしょう!?『ハリーが知る必要がある事以上は話してはならない』と!シリウス、それを忘れたとは言わせないわ!!」
「私は『ハリーが知る必要がある事以上』は話すつもりは無い。しかしハリーがヴォルデモート復活の場に居合わせた以上――」
「でもハリーはまだ15歳の子供よ!!それに――」
「それにハリーは15歳の子供以上の事をやってみせた。恐らく不死鳥の騎士団のメンバーにも匹敵するだろう。モリー、それを忘れたとは言わせない」
「誰も忘れたなんて言いやしないわっ!!」
シリウスとウィーズリーおばさんの激しい言い争いに、収拾がつかなくなってきていた。
シリウスからは明らかに不機嫌さが漂っていたし、おばさんからはこれ以上ないくらい激しい怒りのオーラが立ち込めていいた。
「シリウス!ハリーはジェームズじゃないのよ!!」
「それはいったいどういう意味だ?」
「貴方はハリーとジェームズを混同しているわ!貴方がハリーの事を話す時の口調と言ったら――」
「失礼だが、私は誰が誰だかハッキリ分別しているつもりだがね」
「とてもそうとは思えないわ!シリウス、どんなにハリーがジェームズに似ていても別人なのよ!この子はまだ子供で、責任ある大人がしっかり面倒を見ないといけないわ!」
「まるで私が、責任の無い名付け親だとでも言いたい口ぶりだな」