第37章 【真の悪夢】
「だけど簡単じゃないよ。だってスネイプは『魔法薬学』のテストで「O・優」を取った生徒しか6年生は教えないって言うんだ」
「そっ……それは狭き門だな」
ハリーのこれまでの『魔法薬学』の成績を見るに、「O・優」はかなり厳しいだろう。
それに、もし取ったとしてもスネイプという最大の壁が立ちふさがっている。
その後、ロンも交えて将来の話しになった。
ロンもハリーと同じく闇払いを希望しているらしいが、やはり成績の面で考えるとハリー同様かなり厳しい。
そんなこんなで、午前中は久しぶりに勉強以外の事で盛り上がった。
日曜日、この日は朝早くから4人は図書館に入り浸った。
ハリーやロンと一緒に、今までの『魔法薬学』の復習をしていると、なんだか1人でやるよりもはかどる気がした。
……などと思っているのはクリス達だけで、ハーマイオニーはただひたすらに黙々と分厚い本とにらめっこしていた。
あまりにも集中しすぎていて、声をかけるのも怖いくらいだった。
「ハ、ハーマイオニー……そろそろ夕食の時間だよ?」
「もう!?早いわね、まだ読み終わってないのに!」
「借りていけば?どうせ今夜は寝ないんだろ?」
「おあいにく様。一夜漬けなんて愚かな真似、いたしませんから」
そう言いながらも、ハーマイオニーは一晩で読み切るには無理があると思うくら大量の本を借りていった。
夕食を終え、大広間に戻るとハーマイオニーは早速持ち帰った本を読み始めた。
なんだか近くでこんなに勉強されると、自分も追い込まれるような気分になるから不思議だ。
本を山積みするハーマイオニーの傍で勉強していると、コンコンと何かが窓ガラスに当たった音が聞こえた。
ちょっと気になったが、今は勉強の時間だ。しかし音は途絶えず、むしろ増すばかりである。
「誰なの!集中できないじゃない!!」
ハーマイオニーがヒステリックに叫ぶと同時に、開け放された窓から、黒い物体が弾丸の様に真っすぐクリスめがけて飛んできた。
それはネサラだった。クリスに何かを訴えるように、激しく鳴いている。