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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第36章 【W・W・W】



 祭りの最高潮になった時、大広間のロビーに続く大階段の天辺に、この度の主役であるフレッドとジョージが現れ、生徒はみんな拍手喝さいを浴びせた。

「やあやあ諸君、俺たちはこのホグワーツで為すべきことをすべて終えた」
「よって、この栄えある学校から卒業したいと思う」
「異議のあるものは?」
「あっても聞かぬが我が信条」
「と――言う訳で」
「「――アクシオ!箒よ、来い!!」」

 2人が呪文を唱えると、廊下の向こう側から風を切る音がだんだんと近づいてきて、2本の箒がフレッドとジョージの前でぴたりと止まった。
 アンブリッジとフィルチは、2人が逃げ出す前に何とか捕まえようと、必死になって階段を上ったが、2人の方が1枚上手だった。

 フレッドとジョージはポケットから特大の糞爆弾を取り出すと、それをアンブリッジとフィルチの顔に投げつけた。それを見た生徒達は大きな拍手を2人に贈った。

「さらば、わが青春!」
「願わくば、二度と帰らんことを!」
「「good by!!」」

 それだけ言い残すと、2人は色とりどりの花火が舞い踊る玄関ホールをぬけて、地平線の遥か彼方へと飛んで行った。

* * *

 それから約1週間は、双子の話題で持ちきりだった。皆が皆、フレッドとジョージを英雄視し、彼らに続けとばかりに問題児が続出した。

 あるものは糞爆弾をアンブリッジの部屋の扉に投げつけ、またあるものは臭い玉を廊下の至る所に投下した。
 おかげでフィルチは1日中モップを片手に城のあちこちを掃除しなければならなくなった。

 他にも、ずる休みスナックボックスを使って、クラス全員が原因不明の高熱や失神、嘔吐を訴えてアンブリッジの授業をボイコットするなど、あのガマガエルの様な気色の悪い笑顔が消える日が、だんだんと増えていった。

 他の先生方は、そんなフィルチとアンブリッジを見ても知らん顔をしていた。
 それどころかフレッドとジョージの呼び寄せ呪文は素晴らしかったと褒めたたえ、2人の箒をつないでいた鎖を、大広間の一番見栄えがするところに記念品として飾ってくれた。
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