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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第35章 【進路相談】


「将来の心配はご無用。俺たちはもう直ぐにでも店が出せる」
「そう。長年の夢だった悪戯専門店がな!」

 フレッドとジョージの悪戯専門店。そう言えば去年から2人揃ってそんな話をしていた気がする。
 ハリーが資金を出してお金の心配もなさそうだし、商品の開発も頑張っている。しかし、彼らの母親が何と言うか――それを想像しただけで胃が痛む。
 結局、フレッドとジョージは不安の種だけを残し去って行った。
 そしてその翌朝、まるでそれを予見していたかのような張り紙が、寮の掲示板に張られていた。

【進路指導】
 5年生はイースター休暇明けに、校長並びに寮監のもとで進路指導を行います。
 将来の職業について面談を行うため、5年生は監督生から配られる職業パンフレットに目を通す事。


「う~む、やはりこれって私も対象なんだろうか……」

 掲示板を見ながら、クリスが呟いた。
 身寄りもなく、おまけに魔法も使えない。ついでに言うと家も無ければ金もない。そんな無い無いだらけの今、将来の事なんて考える余裕はハッキリ言って無い。

 しかしそんな事で、あのマクゴナガル先生が面談をパスしてくれるとも思えない。
 仕方なく、クリスは少しでも選択肢を増やそうと、ハーマイオニーが渡してくれた職業パンフレットに目を通した。
 ハリーもロンもハーマイオニーも、この日ばかりは宿題よりも進路のことで頭がいっぱいみたいで、今日だけは宿題ではなく、パンフレットや職業についての雑誌を開いていた。

「だれか進路が決まっている人はいるか?」
「うぅ~……」

 クリスの質問に、ロンがうなり声で返事をしてくれた。因みに他の2人は没頭していてそれどころではないらしい。
 それもそのはず、パンフレットではどの職業も『N・E・W・T』試験という、7年生で受ける試験で良い成績を修めなければ就くのは難しと書いてある。
 今年受ける『O・W・L』でさえこんなに苦労しているのに、めちゃめちゃ疲れると噂の『N・E・W・T』試験なんて、受けるだけできっと死んでしまうだろう。
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