第35章 【進路相談】
「おやおや、誰かと思ったらクリスじゃないか」
2限続きの『魔法薬学』の授業が始まる前、地下牢の教室の前でスネイプを待っていたら、嫌と言うほど聞き覚えのある鼻持ちならない声が聞こえてきた。
振りかえるとドラコと腰ぎんちゃくのクラッブ、ゴイルに、許嫁のパンジー・パーキンソンが振ん反り返って歩いてきた。
クリスはパンジーがまた半狂乱になるんじゃないかと冷や冷やしたが、どうやらドラコが一緒の時は正気を保てるようだった。
「どうだいクリス、君も『尋問官親衛隊』に入らないかい?君だったらこの僕が推薦してやってもいい」
「遠慮する。その名前からするとアンブリッジの手先って事だろう?死んでもなるかバカ」
「――口が悪いな、クリス。少し痛い目を見なきゃいけないらしい。グリフィンドール5点減点」
「はいはい、好きにしろ」
どっちにしろ、ホグワーツに入学した当初から寮の点数なんて気にしたことがない。
クリスが適当にいなすと、今度はパンジーがしゃしゃり出てきた。
「あらクリス、貴女自分の立場が分かっていないみたいね。その気になれば私たちはグリフィンドールから100点減点できるのよ?良いのかしら?」
「別にかまわ――」
「駄目よ!!クリス、お願いだから今は大人しくして」
ほかでもないハーマイオニーに懇願されては、クリスも従わざるを得ない。
クリスが盛大な溜息を吐いて口を噤むと、パンジーが満足そうに微笑んだ。
「そうそう、そうやって大人しくしていればいいのよ」
「ちょっと待った。ポッター、寝癖がついているから5点減点。ウィーズリー、シャツがはみ出てるから5点減点。グレンジャー、歯がデカいから5点減点。ついでに穢れた血だからもう5点減点だ」
これほどまでに見事な言いがかりも見た事がない。ドラコはたった5分もしない間にグリフィンドールから25点減点してみせた。
他のグリフィンドール生は親の仇でも見るような目でドラコを睨みつけていたが、これ以上減点されては元も子もないので、仕方なく黙るしかなかった。