第35章 【進路相談】
ハリーが談話室に戻ってくると、DAメンバーはこぞって何があったのかハリーに質問したが、とにかく色々ありすぎてハリーすら状況を全て把握出来ていなかった。
ハリーはドラコの策略でアンブリッジにつかまり、あわや退学に追い込まれそうになったところを、ダンブルドアが全ての罪をかぶって逃亡したという、客観的事実だけを話した。
だがダンブルドアがどうやって姿をくらましたのか、どこへ行ったのかはハリーにも分からないらしい。
にも拘らず、ダンブルドアが消えたと言うニュースが一夜の内に学校中に広まったのには、流石のクリスも驚いた。
それだけダンブルドアに対する関心が高いのだろう。だがそれにしたって居なくなってから一夜も経たないうちに、新たな魔法省令が発令されたのには、呆れを通り越して笑いが出た。
【魔法省令】
ドローレス・ジェーン・アンブリッジ(高等尋問官)はアルバス・ダンブルドアに代わり、ホグワーツ魔法学校の校長に就任した。
――以上は教育令第二十八号に従うものである。
魔法大臣 コーネリアス・オズワルド・ファッジ
「おお、ついにここまで来たか」
その掲示を見てクリスの第一声はそれだった。
実際、ここ最近のホグワーツは魔法省の――いや、アンブリッジの言いなりだったから、これはただ表向きの事務処理みたいなものだった。
ただ生徒達の間に、唯一の歯止めだったダンブルドアがいなくなってしまい、これからどうなるんだろうと言う漠然とした不安があった。
「それにしても、どこ行っちゃったんだろうな。ダンブルドア」
「僕にも分んないよ。最後に言ってたのは、『閉心術』を必死に学べって……ただそれだけ」
「こうなったら1にも2にも『閉心術』を会得するのよ!そうすれば道は開けるわ!」
ハーマイオニーが明るく言うと、ハリーは力なく笑った。
実際のところ、他の生徒たちも漠然とした不安は持っているものの、ダンブルドアが返ってくることを疑わない生徒はいなかった。
だが、もちろん例外はいる。
それがスリザリン生を主体に組織された『尋問官親衛隊』だった。