第4章 【大人げない大人】
それからロン、クリス、ハーマイオニーがカード持ってハリーに近づいた。
「ハッピーバーズデー、ハリー!私達もカードを書いたのよ、受け取って!」
「本当はプレゼントも用意したかったんだけど、ダンブルドアの言いつけで外出は禁じられててさ」
「ささやかなお祝いだけど、喜んでもらえると嬉しい」
「僕、僕……その、なんていうか……ありがとう」
「さぁさぁ、いつまでも立ってないで座って頂戴!みんなでケーキを焼いたのよ!!」
ウィーズリーおばさんが、ハリーをケーキの前に座らせた。おばさんに教えてもらってみんなで作ったケーキは形はあまり良くないが、その分気持ちだけは十分詰まっている。
薄暗い厨房の中で、ハリーはまだキツネにつままれたような顔をしている。
「Happy birthday to you
Happy birthday to you
Happy birthday dear Harry
Happy birthday to you」
歌が終わると、ハリーはワンテンポおいてから慌ててふーっと蝋燭を消した。みんなで拍手をし、シリウスが杖を振ってパッと明かりをつけた。
やっとみんなの顔がちゃんと見えるようになると、ウィーズリーおばさんが料理をテーブルの上に次々と運んでいった。
クリームシチューにソーセージの盛り合わせ、ローストビーフにヨークシャー・プティング、ハッシュドポテト等が所狭しと並べられた。
「マンダンガス!夕食の席でそんなもの吸わないで頂戴!!」
長テーブルの1番隅に座っていたチンピラ風の男が、パイプを口にくわえていた。
マンダンガスと呼ばれた男は、ウィーズリーおばさんに怒鳴られ、しぶしぶパイプを口から放しローブの中へしまった。
「あぁ~、そういやぁ……ハリー……俺ぁ、あんたにゃぁ謝らにゃいかん」
マンダンガスが赤茶けたクシャクシャの頭をかきながら、バツが悪そうにボソボソと呟いた。
「俺があんとき、持ち場を離れたんは……その、商売のチャンスがあったからで……」
「大丈夫、僕、気にしてない」
「そりゃ……ありがてぇ。けど……」