第33章 【占い学の先生】
確かにハーマイオニーの言う通りだろう。もし自分が騎士団のメンバーだったら、貴重な武器を奪われないように鉄壁の防衛策をかける。
それにしても、そこまで重要なアイテムとはいったい何なんだろうか……。
クリスが熱い紅茶を口にしながら考えていると、ハーマイオニーが横から口添えした。
「でもね、私たちの意見では、ハリーはこれ以上ヴォルデモートに関する夢を見るべきじゃないの。だってそうでしょ、今回ハリーは誰視点で夢を見たと思う?ヴォルデモート自身よ。こんなに危険な事ってないわ」
それを聞いてクリスが思わずハリーに視線を送ると、ハリーはバツが悪そうに下を向いた。
確かにハリーとヴォルデモートと間に何らかの繋がりがあると分かっている今、易々とヴォルデモートの夢を見る事は決して良い事とは言えない。
ハリーは気が進まないだろうが、やはりここはスネイプとの『閉心術』の特訓に力を入れてもらうべきだろう。
それから数日の間は、特に事件も起こらず平穏な毎日が過ぎていった。少なくとも、ホグワーツの中だけではの話しだが――。
誰もエイブリーと言う人間がこの世を去った事など知らないし、手を下したのがヴォルデモートだと言う事にも気づかない。
だが気づかないだけで、闇の魔の手は確実にクリス達の喉元まで近づいてきていた。
そんな仮初めの平和を享受する中、相変わらず『ザ・クィブラー』を読んだ人の感想がハリーの元に届けられた。
ルーナ曰く、『ザ・クィブラー』がこんなに売れたのは初めてで、増刷に増刷を重ね、ニュースなどにも取り上げられてるらしい。
それくらい、今の世の中で『ザ・クィブラー』の名前を知らないものは居なかった。
流石のアンブリッジも、学校の外から送られてくる手紙にケチをつけるわけにはいかず、歯がゆい思いをしていた様だった。
しかしそんなアンブリッジが、ついに高笑いする日がやって来た――。