第33章 【占い学の先生】
頭が割れるような頭痛と共に目を覚ますと、既にルームメイトたちの姿はなかった。
クリスはあまり良いとは言えない気分のまま身支度を済ませると、ゆっくり大広間に降りて行った。
途中、廊下ですれ違う生徒がクリスを見て明らかに畏怖の表情を浮かべたが、クリスはそれを無視して大広間に入った。
朝の大広間は、いつ見ても大勢の生徒や郵便配達のフクロウ等でごった返している。だが、何一つとしてクリスの心を動かすものはなかった。
クリスは素早くハリー達を見つけると、気だるそうに挨拶をして席に着いた。
「……やあ、おはよう」
「お、お早うクリス」
ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は気遣わしげにクリスを見た。
昨夜の態度から、クリスがまた内に籠ってしまうんじゃないかと心配しているのだろう。それを見て、クリスはふっと笑った。
「安心しろ、もう殻に閉じこもるような真似はしないから」
「本当?」
「あぁ。それより、今日の1限目は何だっけ?」
「ちょっと待ってて、えーっとね――」
ハリーがカバンの中をあさった、その瞬間――ほんの僅かな間に、ロンとハーマイオニーが目配せしたのに気づいた。
何か自分に隠しているなと感じたクリスは、無意識の内に小さく舌打ちをした。
「どうした2人とも。何か隠し事か?」
「そう言うんじゃないけど――」
「けど?」
「あのね……ハリーが昨夜夢で見たのよ。その……ヴォルデモートがエイブリーを殺すのを」
ヴォルデモートという単語に、クリスの眉が一瞬ピクリと動いた。
分かってはいるが、やはり慣れないものだ。それも当たり前だ、物心つく前からヴォルデモートの名前は禁忌とされてきたのだから。
それが自分の父だと言われても、ハイそうですか、と受け入れられるものではない。
それでも、クリスは精一杯平然を装った。
「なるほど。で?どうしてエイブリーは殺されたんだ?」
「間違った情報を送ったからだって。でも分かったのはそれだけじゃない。どうやら例の武器を手に入れるには、普通の方法じゃ駄目みたいなんだ。ハーマイオニーが言うには、武器自体か何かに、防衛術がかけられているって」