第32章 【真実を告げる雑誌】
「よし、これはもう残された道は一つだ!」
「なに?どうるすの?」
「『O・W・L』の試験日は堂々と中庭でエスケープ!!」
「お馬鹿なこと言ってんじゃありません」
分かっているけど、ついつい口にしてしまう軽口を一蹴されると、なんだか悲しくなってくる。否、虚しくなってくる。
クリスは宿題の手を止め、テーブルに突っ伏した。
「はあ……そりゃハーマイオニーは良いさ、テストなんて楽勝だからな。私なんて実技はほぼ0点だぞ!?きっとクラップやゴイルにも劣る。あ、自分で言ってて辛くなってきた……」
「魔法の特訓を続け手入れば、必ず魔力は取り戻せます。病院の先生もダンブルドア先生も、そう仰ってたんでしょう?」
「それはそうなんだが、一向に戻る気配がないし……後はあれか?卒業後はハグリッドのお手伝いか?それともまさかのフィルチの相方!?」
「君って時々突拍子もないこと言うよね」
「クリスだし」
ハリーとロンが呆れ果てたように言った。何が虚しいって、馬鹿な発言をしても「クリスだし」の一言で済まされてしまうことだ。
自分でもあまり賢い方だとは思っていなかったが、これはこれで傷つく。
テーブルの頭を載せて自分の行いを反省していると、誰かが窓を開けたのだろう、冷たい風と共に1羽のミミズクが入ってきた。
ミミズクはクリスの肩にとまると、嘴に咥えた手紙を差し出した。
差出人の名前は書いていなかったが、焼き印で分かる。これはマルフォイ家のものだ。クリスは急いで封を切った。
Dear クリス.
父上からあの晩の一部始終は聞かされていたが、一応僕も『ザ・クィブラー』を読ませてもらった。正直言って驚いている――。
「誰から!?」
「ドラコだ。焼き印もそうだが、字で分かる」