第32章 【真実を告げる雑誌】
――残念ながら、おじ様は死んでいるんだ。それは僕の父上が確認したから間違いない。
それなのに何故自分の立場をわきまえず、ポッター達とつるんでいるのか正直理解に苦しむ。君が「こちら側」に来る気があるなら、直ぐにでも説得できる用意はしてある。
婚約は解消されたが、僕らの友情は永遠だ――。
それを読んで、クリスは悲しいとか、苦しいとかの次元を超えた感情にさいなまれた。
確認?立場?理解?友情?――否、否、否、否否否否否否、否!!
あいつは、あいつだけは私がどんな状態なのか分かっていると思ったのにっ――!!!!!
どこかの窓ガラスがパリンッと割れる音が聞こえたが、クリスは気にも留めなかった。そんな余裕など、どこにもなかった。
ただひたすらに、体を蹂躙する憎悪を押し込めようと必死になる。
立て続けにパリンッ、パリンッとガラスが割れて飛び散る音と人の悲鳴がしたが、それが自分の魔力の暴走だとはクリスは全く気付かなかった。
唇を噛みしめ、残された最後の理性で手紙をぐしゃぐしゃに丸めて暖炉に放り投げると、クリスは何も言わずに女子寮への階段を駆け上っていった。
「クリス、待って!!」
友の声も、誰かの悲鳴も耳には入らず、クリスは見慣れた字が突きつける激痛に独り心を痛める他はなかった。