• テキストサイズ

ハリー・ポッターと沈黙の天使

第31章 【待ち人】


 ……う~む、そうか。そうだったのか。
 しかし3日目でここまで大威張りされるとは。1週間たったら祝儀を挙げてもおかしくない勢いだ。
 いやその前に一応幼馴染として、何か気の利いたことを言わなくてなならないだろうか。
 クリスが悩んでいると、ドラコがわずかに口を開いた。

「その……これは父上が決めたんだ。純血の家系は少ないからって……だから……」
「そうか、おめでとう」

 おかしい、憎まれ口なら考えなくても沢山出てくるのに、正式に婚約した2人を前にして生憎これしか言葉が出てこなかった。
 クリスは2人の脇をすり抜けて大広間に入ると、ロンとハーマイオニーを探した。
 このホットなニュースを知らせようと辺りを見回すと、グリフィンドール席の真ん中辺りに、おなじみ燃えるような赤髪と、茶色いフワフワの髪の毛を見つけた。

「ロン、ハーマ――」

 言いかけて、クリスは口を閉ざした。何故ならば2人の周りに、何か入り込めないオーラの様なものが見えたからだ。
 それは先ほどのパンジーとドラコには見えなかった。ハリーとチョウの間にも見えない。でも、この2人には確かに存在している。
 だがそれも一瞬で、2人がクリスに気づくと直ぐにオーラは周囲に溶けて消えてしまった。

「クリス、こっちよ!」
「ハリーに会った?談話室で宿題やってただろ?」
「ああ……うん……」
「どうしたの?元気ないわね」
「ん?そうか?きっと……寝不足なんだろ」

 あくびをすると、涙で2人の笑顔がぼやけた。
 談話室は十分温かいはずなのに、今日この時だけ少し寒く感じたクリスだった。
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp