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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第30章 【心の拠り所】



 ハリーの言葉を最後に、4人は黙り込んで考えた。確かヴォルデモートは「武器の様なもの」を欲しがっていると言っていた。

 神秘部と言えば、魔法省の中でも一際怪しげ――もとい、謎に包まれている部署だ。
 クリスも詳しくは知らないし、父親が魔法省に勤めているロンですら、神秘部で働く人を『無言者』と呼ぶこと以外は知らないと言う。

 とにかく情報が少なすぎて、ここであれこれ頭を悩ませても答えは出てこないだろうと言う結論に達し、4人は大人しく膨大な量の宿題に取り掛かった。
 しかしハリーは集中できないのか、しきりに額の傷を手でこすっては顔をゆがめている。そしてとうとう10分もしない内に、ハリーは静かに羽ペンを置いた。

「僕、もう寝るね。宿題は明日にする」
「そう……スネイプとの訓練で疲れているものね。ゆっくり休んで」

 ハーマイオニーが気遣わしげにそう言うと、ハリーは鞄に大量の宿題を詰め、幽霊のように男子寮への階段を上って行った。
 その後姿を見送ると、クリス達は声をひそめて話し始めた。

「閉心術って、そんなに疲れるのかな?」
「当たり前でしょ。扉じゃないんだから、何度も心を閉じたり開いたりしたら誰だって疲れるわよ」
「ハリー、本当に大丈夫か?」
「僕、ちょっと様子を見てくるよ」

 そう言うなり、ロンは宿題を放り出して男子寮へ消えていった。
 ハリーも大切だが、今は殺人的な量の宿題を片付けるのが先だ。気を取り直して机に向かうクリスに、ハーマイオニーがふと疑問を投げかけた。

「ねえ、ハリーの額の傷が痛むのって……やっぱりヴォルデモートが関係していると思う?」
「十中八九そうだろうな」
「貴女の腕の痣はどうなの?やっぱり痛むことってあるの?」

 そう言われて、クリスは自分の左腕に目をやった。――ヴォルデモートの家臣であると言う証の『闇の印』。
 ハリーの額の痣が痛む時、同様に痛む事があったが、思えばダンブルドアから貰った銀の腕輪をはめてから、痣が痛むという事はほとんど無い。
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