第3章 【ハリーの怒り】
それだけ言い残すと、ウィーズリーおばさんは階段を下りて行った。「どういう事?」と疑問を口にしたハリーだったが、ロンが「すぐに分かるさ」と言って部屋を出て行った。それにハーマイオニーも続く。
疑問符を頭に浮かべるハリーだったが、空腹の方が勝ったのか、クリスと一緒に部屋を出た。
階段を下りて行く途中、先頭を歩いていたロンが片手を上げて制した。
「待った、まだ皆ロビーに残ってる。何か聞けるかもしれない」
4人は隠れる様にその場にしゃがむと、耳をそばだてた。するとその上から、フレッドとジョージが『伸び耳』を使って何とか会話を傍受しようと試みていた。
しかしロビーに居た魔法使い達は、パチンッと弾ける音と共に姿を消してしまった。
残ったのはルーピン先生、派手なピンク色の髪をした若い女性、ウィーズリーおじさんとビル、それによれよれのローブを着たチンピラっぽい魔法使いだけだった。
「仕方ない、早く行こうか。僕おなかペコペコ」
ロンが再び階段を下り、皆ロビーに着くと、ルーピン先生たちと合同した。みんな声をひそめて話している。
廊下の奥で、ウィーズリーおばさんが厨房の扉を開けてニコニコ笑って待っていた。
「さあいらっしゃい。ハリー、今日は彼方の誕生日だからちょっと豪勢にしたのよ――トンクスッ!!」
おばさんが叫んだ途端、派手なピンク色の髪をした女性が傘立てに躓いてぶっ倒れた。次の瞬間、耳を塞ぎたくなるほどの大きな叫び声がロビーいっぱいに響き渡った。
おばさんと、トンクスと呼ばれた女性が、ビロードのカーテンの開きかけた肖像画を、何とか元の状態に戻そうと必死になって奮闘していた。
だがその叫び声に反応して、ロビーに飾られた他の肖像画たちも目を覚まし、ロビーは騒然となった。