第3章 【ハリーの怒り】
「他には、騎士団のメンバーは誰がいるの?」
「全員は知らない。取りあえず言えるのはうちの親父とおふくろ、ビルにチャーリーに――」
「ビルとチャーリーもここに居るの?2人とも外国だって聞いたけど」
ハリーの言う通り、ウィーズリー家の長男・ビルはグリンゴッツのエジプト支店で働いているし、次男のチャーリーはルーマニアでドラゴン関係の仕事をしているはずだ。
フレッドはハリーの質問に、何やら意味深な笑み浮かべ、ジョージと目配せした。
「チャーリーはまだルーマニアで仕事をしているけど、ビルは異動届を出したんだ。家に帰って騎士団の手伝いが出来る様にって。それに――」
「それに?」
「覚えてると思うけど、あのフラー・デラクールっていただろ。あの子がグリンゴッツに就職したんだ。それでビルが英語の個人授業をしている。課外授業もかな?」
「そっか、それじゃあパーシーも騎士団なんだね」
ハリーが当たり前のように言った言葉に、皆の顔から笑顔が消え、葬式でも始まったかのように暗い顔をした。
そう、あれは夏休みに入り、クリスがウィーズリー家に厄介になって直ぐの事だった――。
* * *
「僕、昇進したんだ」
もうすぐ夕食が始まろうと言う時間、魔法省に勤めているパーシーが帰ってきていきなりそう告げた。
母のモリーは大喜びで、茹でていたブロッコリーをほっぽらかしてパーシーに抱きついたが、その場に居た誰もが変だと思った。
パーシーと言えば、去年の『三大魔法学校対抗試合』に審査員に任命されたクラウチ氏の部下として働いており、クラウチ氏がヴォルデモートの部下に操られていた事を知らない魔法省は、パーシーが上司の異変に気付かず、ただ手紙の指示だけで仕事をしていたと言う事で大問題になったのだ。
責任を取らされ降格されられる事はあっても、まさか昇進されるなんてことはないはずだ。
「おめでとう、パーシー!それで?どんな役職に就いたの?」
息子の昇進を信じて疑わないモリーは、嬉しそうに尋ねた。それこそ鍋が吹きこぼれている事にも気づかないくらいの喜びようだ。
父のアーサーは何かおかしいと思ったのか、息子に抱きついているモリーとの間に入ると、真面目な顔で言った。
「パーシー、折角の昇進でこんな事を言いたくはないんだが……いったいお前の上司は何を企んでいる?」