第3章 【ハリーの怒り】
「会議では何を話してるの?」
「そうだな、俺達が手に入れた情報では、騎士団の主な任務は面の割れてる『死喰い人』の監視。それと密かに騎士団のメンバーに入る様に勧誘している。『例のあの人』に対抗するためには、少しでも仲間を増やそうって言うのがダンブルドアの考えだ」
「ダンブルドアはどこにいるの?」
「そりゃ俺達が聞きたいくらいだ。かなり忙しいらしくて、こっちに引っ越してきてからたった2回くらいしか見かけてない」
ハリーは何か考え込むように黙り込んだ。その時、開いたドアの影から長い赤い髪が覗いて見えた。ウィーズリー家の末娘、ジニーだ。
ジニーは入学前からハリーにお熱で、ハリーの前ではいつも恥ずかしそうにしている。
「あの、その、ハリーの声が聞こえたんだけど……」
「やあ、ジニー」
ハリーが笑いかけると、ジニーはポッと頬を赤らめた。これが可愛らしくて、クリスはつい口角が上がるのを止められなかった。
そんなジニーは、ジョージがもっている伸び耳を見て、呆れた様にため息を吐いた。
「それ無駄よ。ママが扉に『邪魔よけ呪文』をかけたから。見つかる前に止めた方が良いわ」
「どうして分かるんだ?」
「トンクスが教えてくれたの。扉に何かぶつけて、跳ね返ったらそれは『邪魔よけ呪文』がかけられている証拠だって。試しにクソ爆弾を幾つか投げつけてみたけど、全部跳ね返されちゃった」
「ちっくしょー!スネイプが何を話すのか聞きたかったのに」
「スネイプ!!?」
ハリーが電撃に弾かれたように反応した。ジニーは「シーッ」と言って唇に指を当てると、そっと部屋の扉を閉めた。
「聞こえちゃうわ」
「アイツがここに居るの!?」
「そうよ、スネイプ先生は私達の見方よ」
「どうだか、あいつ腹の中じゃ何を企んでいるか分からないぜ」
やれやれと言って、ジョージは『伸び耳』を巻き取るとベッドに腰掛けた。
ハリーは勿論だが、クリスもスネイプがこの屋敷に来ているなんて知らなかった。だがあの日の夜、医務室でダンブルドアから直接何かを頼まれていたのは知っている。
だから騎士団のメンバーとしてここに居ることに問題はないのだが――ハリーへの態度や今までの言動を見る限り、簡単に信用は出来ない。