第24章 【Love ∞ destiny】
どの位そうしていただろう。不意に部屋の扉が開き、ハーマイオニーが入って来た。
クリスは慌てて寝たふりをしようと、とっさに布団を被ろうとしたが、それよりもハーマイオニーがベッドの脇に腰かけた方が早かった。
「クリス、大丈夫?」
「ああ、大丈夫……じゃない事くらい、お見通しか」
あんな風に談話室を出て行ったのだ、クリスが不機嫌なのは分かりきっている事だ。クリスはうつ伏せの状態のままそっと溜息を吐いた。
「ハリーの事、喜んであげられないんだ。友達なら、喜んであげないといけないのに」
「無理に喜ぶ必要はないわ」
「いや、喜んであげないと。ハリーはずっと前からチョウが好きだったんだから。想いが実るのは良い事だ。だけど……」
クリスの中にだって、ハリーの恋を応援してあげたい気持ちがないわけではない。しかし、その相手がチョウだと言うのが引っかかってしまいどうしようもない。
他の誰かだったら、諸手を挙げて応援しただろう。ただ、チョウが相手だと言うのが、どうしても自分の中で納得出来ずにいるのだ。
2人の間で重い空気が漂う。先に沈黙を破ったのはハーマイオニーだった。
「ねえ、聞いても良い?」
「何だ?」
「貴女って、セドリックが好きだったの?」
ハーマイオニーのその言葉は、クリスの気分をより沈ませるのには十分だった。
確かにセドリックには、ハリーやロンとは違う感情を抱いていた。そして大好きだったあのルーピン先生とも一線を画していた。
セドリックには、まるで同士の様であり、兄妹の様であり、強いて言えば友達以上恋人未満の様な、淡い何かを感じていた。しかし、それを言葉にするのはとても難しかった。