第24章 【Love ∞ destiny】
そしてDA集会の時。いつもの様に部屋の隅でクリスが小説を読んでいると、誰かがクリスの方に近づいてくる気配がした。
ふと顔を上げると、それはハリーだった。今日はクリスマス休暇前の最後の集会なので、新しい魔法は勉強せず復習だけだと言っていた。
いつも皆が魔法をかけあっている間を見て回っているのに、今日はどうしたんだろうか。
「やあ、今日は見て回らなくて良いのか?」
「うん。今回は復習だけだし……それ、面白い?」
「ああ、中々読みごたえがあるぞ。終わったら貸そうか?」
「僕はいいよ。それより……たまには一緒に練習しない?」
クリスは咄嗟になんて言って良いのか分からなくなった。ただハリーの優しいエメラルド・グリーンの瞳を見て、彼の素直な気持ちだけが伝わって来た。
最近のハリーはクリスに向かって、よくこういう優しい感情を向ける。――いや、これは優しさと言うより哀れみなのかもしれない。どちらにせよ、クリスにとって気持ちの良いものではなかった。
「ハリー、無理しなくていいぞ」
「無理なんてしてないよ。僕はただ――」
「良いんだ。それに魔法が使えなくても良い事が沢山ある」
「例えば?」
「マグル製品に囲まれて暮らせる、とか?」
口角を持ち上げ、ニッと笑って見せると、それを見たハリーがプッと吹き出した。ああ、やはり「こういう関係」の方が良い。クリスはさらに続けた。
「それにどこかのプラチナブロンドのお坊ちゃまに許嫁呼ばわりされなくて済むしな。ああそうだ、いっそマグルと結婚しようかな。そうすれば万事解決だ」
「それならっ――」
「それなら?」
「それなら……それなら、いっそ僕とシリウスと3人で暮らさない?きっと楽しいよ」
「ああ、それも良いな」
あの寂しがり屋の為に、キングサイズのベッドを買って3人で一緒に寝起きする。その様子を想像して、クリスはくっくっくと笑った。
そんな話しをしていると、ハーマイオニーがハリーを呼んだ。もうそろそろ1時間経ってしまうらしい。ハリーはホイッスルを吹いて皆を注目させると、部屋の中心に皆を集めた。