第23章 【帰ってきたハグリッド】
翌日の朝、ハグリッドは顔の半分を包帯を巻いた姿で大広間に現れた。
グリフィンドール生の何人かは、その怪我の様子にビックリはしていたが、戻ってきたことを喜んでいた。残りの生徒の大多数は明らかに沈んだ様子で、落胆のため息を吐いていた。
大勢の人間がハグリッドより代理のグラブリー・プランク先生の方が良いと考えているようだ。
クリスはハグリッドの友人として、声を大にして言う事が出来なかったが、違法であるドラゴンの卵を孵したり、アラゴクという巨大蜘蛛を秘かにペットにしていた過去から見ても、『O・W・L』を控えた今、ハグリッドが教師として最適だとは思っていなかった。
それでなくとも、あのクソガマガエルのアンブリッジが高等尋問官として授業を査察しに来るのだ。もしトレローニーの二の舞になったら、同じく停職処分を受けることになる。
その日のお昼休み、アンブリッジの査察を危惧したハーマイオニーがハグリッドにアドバイスに行ったが、全ては無駄に終わった。
ハーマイオニー曰く「今まで留守にしていた分、とびっきり面白い授業にするぞ」と言って笑っていたらしい。
ハグリッドの言う「とびっきり面白い授業」の様子を想像して、クリスはちょっと顔が青くなった。
しかし、クリスに出来ることは何もない。午後の授業を知らせる鐘の音を聞くと、3人に向かって「健闘を祈る」と言ってクリスは1人『マグル学』の授業に向かった。
本来ならマグル大好き人間のクリスにとって『マグル学』の授業は、日々のストレスを忘れさせてくれる楽しい授業だったが、この日ばかりはハグリッドの査察が気になって授業に集中できなかった。
終業のベルが鳴ると、クリスは素早く教科書を片付けると真っ先に談話室に向かった。ハーマイオニー達からハグリッドの授業の様子を聞きたかったからだ。
ドキドキしながら3人を待っていると、まずハーマイオニーが出入り口の穴をよじ登って現れた。
「お帰り!どうだった?」
「どうも何も最悪よ!あのいけ好かない腐れ年増、ハグリッドをウスノロのトロールか何かと思っているみたいだったわ!!」
「そんなに酷かったのか?」
「授業自体は悪くなかったのよ。でもあのクソババアが――」