第23章 【帰ってきたハグリッド】
「別の手段って?」
「ガ―グに反抗していた連中を説得する事にした。言葉で言うのは簡単だが、実際はそうじゃねえ。まず探すのが大変だ。俺達は『死喰い人』からもガ―グ達からも隠れて事を運ばなきゃなんねえから、真昼間に行動は出来ねえ。だから夜、こっそり連中が隠れている洞穴を回って説得した」
「上手くいったの?」
「いや、正直言うとよく分かんねえ。なにせ英語が通じる巨人はほとんどいねえからな」
その一言を聞いて、クリスはズッコケそうになった。言葉もまともに通じないのに、どう説得して回ったのか。
ハグリッドは「英語が通じる奴が通訳してくれた」と付け足したが、それでもこちらの意図がハッキリ伝わったかどうか怪しいものだ。
ハグリッドはまた生肉をひっくり返し、傷口に張り付けた。その様子を見て、クリスは不思議に思った。
巨人とも『死喰い人』とも争いがなかったのにも拘らず、何故ハグリッドはこんな大けがをしているのだろうと。
クリスが口を開きかけたその時、ガラス窓を揺らす吹雪に交じってドアをノックする音が聞こえた。
ダンブルドアかと思い、戸口の小さなカーテン越しに窺うと、そこにはずんぐりと小さな人影が写っていた。間違いなくクソガマガエル、もといアンブリッジだ。
「まずい!早く隠れなきゃ!!」
ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人は部屋の隅にかたまると、急いで『透明マント』を被った。
ハグリッドは何をそんなに慌てているのかと首をかしげていたが、ハリーが口に人差し指を当てて小さく「黙ってて」と言うと、言われた通り4人の方を見ない様にして扉を開けた。
「こんばんは、えー……ハグリッド。ちょっと失礼」
アンブリッジはハグリッドの小屋にずかずかと入ると、きょろきょろ辺りを見回し、不審な所がないか確かめた。
アンブリッジと初対面のハグリッドは、何が何だか分からないと言った表情を浮かべた。
「失礼ですが……おたくはいったいどなたですか?」
「わたくし、ドローレス・アンブリッジと申します。新しく『闇の魔術に対する防衛術』教師兼高等尋問官としてホグワーツに赴任しましたの」
「はあ……へえ?高等尋問官?」