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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第23章 【帰ってきたハグリッド】


 ハリーはエメラルドグリーンの瞳で真っ直ぐハグリッドを見つめている。ハグリッドはハリーの眼を見て、ぐぬぬと唸った。そして降参したとばかりに、大きなため息を吐いた。

「分かった、教えてやる。ただし一部だけだぞ」
「うん、分かった!」
「俺はオリンペと――あ~、マダム・マクシームと夏休みを使って、巨人に会いに行ったんだ。ダンブルドア先生の頼みでな」
「それじゃあ、巨人に襲われたの!?」
「そうじゃねぇ!そうじゃねぇが……あ~、どう話したもんか……」
「初めから順番に話してよ。僕ら誰にも言わないから」

 ハグリッドは迷っていたようだったが、やがて観念して1つため息を吐くと、夏休みに起こった事を一つ一つ話し始めた。

「俺たちはダンブルドア先生の頼みで、巨人の隠れ住んでいる山奥に向かった。魔法省の連中に尾行されているのが分かっていたから、簡単に魔法は使えねえ。なるべくバカンスを楽しんでいる様に見せかけて、ゆっくり進んだ。やがて尾行を撒いた事を確認してから、作戦を実行した」
「作戦って?」
「巨人と友好関係を結ぶんだ。その印として何か魔法のかかったものを渡すっちゅうのが俺達の使命だった。連中は魔法使いは大嫌いだが、魔法そのものに興味がない訳じゃねえ。むしろ興味津々だ。だから初日はダンブルドア先生の用意した『グブレイシアンの火の枝』を持って行った」

 『グブレイシアンの火の枝』と聞いて、ハーマイオニー以外の3人は頭に「?」を浮かべた。
 それを見たハーマイオニーが「『永遠の火』よ、授業でもう2回は聞いたわ!」と怒り半分呆れたように言った。

 納得がいったところで、もう1つ疑問点が浮かんだ。
 先ほどハグリッドは「初日」と言った。と、言うことは次の日も持って行ったのだろうか。
 クリスがそう質問すると、ハグリッドは緑色の生肉を反対にひっくり返し、また傷口に張りつけるとコックリ頷いた。

「そうだ、ガ―グに……ああ、連中のお頭って意味だが、ガ―グに貢物を持って行って信用させるのが、巨人達の信用を得る1番の方法だ。だがそう簡単じゃねえ、何せ魔法省以外にも俺たちの周りを嗅ぎまわっている奴らがいたからな」
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