第21章 【DA】
「防衛協会、Defense Associationて言うのはどうかしら?頭文字をとってDAって略すの」
部屋のあちこちから、賛同の声が上がった。確かに分かりやすいし、略している限り外部にバレる心配もない。
立案のハーマイオニーですら納得の顔をしている。さらにジニーがこう付け足した。
「DAって、ダンブルドア・アーミーの頭文字でもあるわね。それってすごく良いと思うわ。だって結局魔法省が一番恐れているのって、ダンブルドアの軍団な訳だし」
「そうね、良いわね!」
「それじゃあDAに決定します。よろしい?」
反対の声など上がる訳がなかった。ハーマイオニーはローブからメンバーの署名がしてある羊皮紙をだし、上に大きな文字で『ダンブルドア・アーミー』と書き加えて壁にピンで止めた。
やっとひと段落つくと、改めてハリーが話を切り出した。
「それじゃあ、えっと……まずは『武装解除』の呪文から始めよう。みんな知っていると思うけど、『エクスペリアームズ』と唱える。初歩の初歩だけど、かなり有効だ」
「おいおい、冗談だろ?『例のあの人』に向かって『武装解除』だって!?」
先ほどクリスの怒りに触れたザカリアスという少年が、またしてもバカにしたような口調で声をあげた。しかしハリーは真剣な顔でこう答えた。
「僕が実際にヴォルデモートにこれを使った。そのおかげで今ここにいる。信じられないなら出ていけ」
これにはザカリアスだけでなく、ほかの人間も言葉を発することができなかった。ハリーは無言を了承ととらえ、改めて仕切り直しをし、2人一組を作らせた。
クリスはハリーの勧めでネビルと組むことになった。魔法の使えないクリスと、劣等生のネビルで良いコンビだと思ったのかもしれない。
しかし、実際に術を唱えてみると、ネビルは1発目で見事に『武装解除』を決めてみせた。
「やったー!!出来た、僕出来たよ!!」
「ああ、見事だった」
謙遜などではなく、本当にネビルは見事だった。相手がクリスという格下相手だったからというのもあるが、他のメンバーは、術が弱くて杖を取り上げるどころか相手を2、3歩よろめかせるのがやっとだった。
また術が勝手な方向へ飛んで行って本棚の本をぶちまけたりで、本当に術を成功させたのは20人以上いる中で半分にも満たなかった。