第21章 【DA】
正直言って、クリスはチョウ・チャンのどこが良いのか分からなかった。確かに顔は良い。クィディッチも上手いらしいし、レイブンクロー生だというくらいだから頭も良いんだろう。
しかし、セドリックの恋人であったにも関わらず、落ち込んでいる振りさえ見せないのは同じ女としてどうかと思った。
しかしそんな事ハリーには言えない。クリスはティーカップをソーサーに戻すと、腕を組んで大きくため息を吐いた。
そして、夜の7時半になると、ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人は談話室を出た。
ハリーの話だと、ドビーが『必要の部屋』と呼ばれる、知る人ぞ知る秘密の部屋を教えてくれたというのだ。その部屋には、欲しいと願ったもの全てがそろっているらしい。
そんな都合の良い部屋があるのかと、クリスは半分疑りながら8階の廊下にやってきた。
「それで、どうするんだ?」
「ドビーが言うには、気持ちを必要だと思う物に集中して、この壁の部分を3回行ったり来たりすれば良いんだって」
「そんな簡単にいくのかな?」
「とにかくやってみましょう」
大きなタペストリーのかかった壁の隣を、4人はそれぞれ必要だと思う物を強く念じて歩いた。
クリスは3年生の時に訪れた、ルーピン先生の部屋を想像した。あそこは色々な闇の生物がケージに入れられており、他にも古い書物や、休憩するにはもってこいのティーセットなどがあった。
そしてきっちり往復すること3回。期待を込めて4人が振り返ると、そこには大きな石造りの立派な扉が立っていた。
少し緊張気味にハリーが扉を開けると、目の前に広がる光景に思わず言葉を失った。
そこは普通の教室の倍以上ある広い部屋で、壁際には沢山の書物と、教科書に載っている殆どの魔法生物のケージがあった。
他にもふかふかのクッションや、校長室で見た事のある不思議な器具、そしてクリスの希望通り沢山のティーセットであふれていた。
「これは凄い……」
「凄いなんてもんじゃないわ!最高よ!!」
ハーマイオニーが興奮したように、壁際の本棚に突進していった。ロンはふかふかのクッションを手に「これなら失神術の練習もバッチリだ」と喜んでいる。
ハリーも、これまでの規模は流石に想定していなかったのか、感嘆のため息を吐いて部屋のあちこちを眺めていた。