第21章 【DA】
夕食の時、アンジェリーナがやってきて、グリフィンドールチームも再編成の許可が下りたと興奮気味に言った。早速今夜から練習らしい。曰く「最初の試合まであと3週間しかないのよ!」とのことだ。
夜になると、ハリーとロンはクィディッチの練習に向かった。外は大荒れで、窓ガラスに大きな雨粒が音を立てて打ち据えている。
こんな中で練習なんてできるのかと思っていたら、案の定1時間ちょっとで帰って来た。2人とも雨に濡れてビショビショで、きっと不満たらたらだと思っていたら、やけに真剣な顔をしていた。
「どうした?遂にこの雨の中練習を強行して負傷者が出たか?」
「違うよ――ちょっと話が……」
ハリーがびしょ濡れのユニフォームのまま、宿題をしていたクリス達の傍に来たかと思うと、余程聞かれては困るのか、グッと身体を寄せてひたいを突き合せた。
「実はさっき、また傷が痛んだんだ」
はっ、とハーマイオニーが息をのむ音が聞こえた。クリスは驚くよりも先に疑問が頭をよぎった。
前回のアンブリッジの時といい、今回といい、何故ハリーの傷跡だけが痛むのだろう。これまでハリーの傷跡が痛むと同時にクリスの『闇の印』も傷んだはずだ。それなのに、何故――。
「クリス?話聞いてる?」
「あっ……う、うん。それでどうした?」
「だから、あいつが怒っているのが分かったんだ。まるで……傷跡を通して、あいつの感情が流れ込んでいるみたいに」
「感情が流れ込んできてる?」
「うん、なんて言ったらいいのかな……分かるんだ、あいつがすごく喜んでいたり、怒っていたりすると傷に激痛が走って……心を読んでいるっているより、気分を読んでいるって言うのかな。ダンブルドアが先学期に言っていたんだ。こういうことが起きるかもしれないって」
「それじゃあ、ダンブルドア先生はこの事をご承知なのね?」
ハーマイオニーが念を押すと、ハリーはちょっと視線をそらした。何か理由がありそうだが、クリスが何か言いかける前に、先にハリーが言葉を選びながら慎重に口を開いた。
「……直接は言ってないけど、分かっていると思う」
「誰か大人に相談しないと」
「さっきも言ったけど、ダンブルドアは言わなくても分かってるはずだ。それに下手に相談は出来ない。手紙も煙突飛行ネットワークも使えないんだから」