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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第19章 【toraitr】


 それでも、心のどこかで不安が胸を占めた。そんな矢先、胸糞悪くなる声が地下牢の廊下に響いてくるのが聞こえた。

「それで僕が行ったら、アンブリッジ先生は快くスリザリンのクィディッチチームの再編成に応じてくれたよ。まあ僕の父上は魔法省の顔なじみだし、大臣もよく父上の事をご存じだ。それに比べてグリフィンドールの連中ときたら――」

 チッとクリスが舌打ちしたと同時に、ハリーとロンが拳を鳴らした。ハーマイオニーが2人のローブを引っ張り、飛び出していかないよう抑えている。
 ドラコはクリス達の姿を確認すると、尚のこと声を大にして嫌味を続けた。

「グリフィンドールなんて、つまりは木っ端の集まりだろう?魔法省の役人って言っても、アーサー・ウィーズリーはクビ寸前だって父上が仰っていたし。それにポッターだけど、アイツは頭がイカレてる。聖マンゴ病院に送った方が良いってもっぱらの噂じゃないか。知っているかい?聖マンゴには魔法で頭がイカレた人間用の特別病棟があるらしい」

 そう言って、ドラコは白目をむき、舌をだらんと出して、喉の奥から汚い声を上げた。
 腰ぎんちゃくのクラッブとゴイルは豚に似た笑い声をあげ、パンジーは甲高い声を出してキャーキャー笑っている。

 もう我慢できない、クリスがドラコに近づいて行くと、それよりも先にドラコに向かって何者かが飛び掛かって行った。
 それはネビルだった。ネビルは寸前のところでハリー達に抑えられたが、必死にもがきながら、今なおドラコに向かって拳を振っている。

「ゆる……さない……お前に……わかる……か……イカレて……なんて……ない」
「ネビル、抑えて。今は駄目だ」
「フッ、何だいロングボトム?ああそうか、お前も病院へ行って観てもらった方が良いな。なんて言ったって魔法もろくに使えない出来損な――」

 ドラコは最後まで言う事が出来なかった。それは皆がネビルに気を取られていた隙に、クリスがドラコの股間を思いっきり蹴り上げたからだった。
 男にしか分からない地獄の苦しみがドラコを襲う。クリスは股間に手を当てて悶えるドラコを見てハッと鼻で哂った。
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