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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第19章 【toraitr】


 それと入れ違うように、今度はレイブンクローとハッフルパフのテーブルからも何人かこちらに向かってやって来た。
 流石に何人もがハリーの周りに集まったら、どんな鈍い人間も何かあると感づいてしまう。
 ハリー達は身振り手振りで、テーブルに戻るよう指示すると、ようやく一息ついた。

「それにしても、タイミングが良すぎないか?」
「昨日の今日で、あの告示。確かに何かありそうね……」

 その時、いつもの様にフクロウたちが一斉に大広間に入って来て、ハーマイオニーには『日刊預言者新聞』を、そしてクリスには白い便せんを1枚持ってきた。
 白い便せんには宛名の代わりに『聖マンゴ病院』の判子が捺されていた。

「何それ?」
「病院から」
「君、どこか悪いの?」
「顔と頭以外は全部」

 空気の読めないロンを適当にいなし、便せんの封をきって中身を見ると、そこには来週末に行うカウンセリングとセラピーの案内が書かれていた。
 別に不満があるわけでは無いが、どうも乗り気がしない。かと言ってサボるわけにもいかず、クリスは小さくため息を吐いて手紙を元に戻すとローブの内側にしまった。

 その後、朝食を終え大広間を出ようとした時、後ろからアンジェリーナが追いかけてきた。ドレッドの髪を振り乱し、かなり興奮している様子だ。

「ハリー!ロン!!」
「大丈夫、あんな奴の思うようになんて――」
「そうじゃない!さっき確認したんだけど、あの告示にはクィディッチチームも含まれているんだって!!試合をやるには、チーム再編成の許可を貰わないといけないの!!」
「「なんだってぇ!?」」

 これにはハリーもロンも声を揃えて驚いた。あのババア、一筋縄ではいかないと思ったが、こうもえげつない手を使ってくるとは。
 アンジェリーナはハリーに「お願いだから2度とアンブリッジに向かって反抗的な態度をとるな」と言って、今度はフレッドとジョージの方へ走って行った。
 あまりに突然の事態に、ハリーとロンはワンテンポ遅れて怒りだした。

「あっ、あのクソババア!」
「どうやっても僕らを苦しめようって魂胆!?」

 2人は『魔法史』の教室に向かうまで、ずっとアンブリッジの悪口を言っていた。
 やがて授業が始まり、ビンズ先生が毎度お馴染みの、超が付くほど退屈な授業を始めると、やっと静かになった。
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