第18章 【抉られた傷跡】
「え~、皆さん……こんにちは」
数名が「こんにちは」と返事をしたが、残りはまだハリーを見つめたままだった。
ハーマイオニーはこの場の空気に緊張しながらも、記念すべき第1回目の会合を成功させようと必死になって言葉を探していた。
「えーっと、それではまず初めに……どうして皆さんがこの場に集まったのか再度説明させてもらいます。ここには――つまり、『闇の魔術に対する防衛術』を実践的に学ぶためです。何故かと言うと、アンブリッジは……もとい魔法省は否定していますが、数か月前……ヴォ……ヴォルデモートが復活したからです」
たちまち悲鳴と共に、今度はバタービールではなく生唾を飲む音が聞こえた。
皆まだヴォルデモートという名前に対し、大きな恐怖を抱いている事がハッキリした。それでも、この場に集まったという事は少しは危機感を持っている証拠だ。
それは決して悪い事ではないとクリスは思った。少なくとも、あの惨劇の場に居合わせた者としては――。
「そこで、自主的に魔法を学ぶのが最適だと私は考えました。アンブリッジなんかが教えている理論だけでは、これからの事態に対処できません」
「でも君は『O・W・L』にも合格するつもりなんだろう?」
「もちろんです。でもそれとこれは話しが違うわ」
「どう違うんだ?本当に『例のあの人』が戻って来たって言うなら、こんなまどろっこしいやり方じゃなくて証拠を見せてくれよ」
顔も名前も知らないブロンドのレイブンクロー生が、そう言ってハーマイオニーではなくハリーを睨んだ。まるで自分だけは騙されないぞとでも言いたげだ。
その態度に、クリスはカチンときたが、当のハリーを差し置いて自分が怒るわけにはいかなかった。
「君、名前は?」
「ザカリアス・スミス」
ハリーに名前を聞かれると、ザカリアスは少々ぶっきらぼうに答えた。
そこまでだったらまだ良かったが、ザカリアスはさらにハリーとクリスの神経を逆なでするような言葉を発した。