第17章 【ハーマイオニーの計画】
確かに、これまでの困難には2人で立ち向かってきた。しかしその危機的状況を切り抜ける術に長けた人間は、今やハリーだけだ。
ハリーが首を縦に振ってくれるだけで、守れる命があると言う事を分かって欲しい。保守的な魔法省のやり方に屈せず、立ち向かう勇気を見せて欲しい。
クリスは期待を込めた目でハリーを見つめた。
「ハリー、頼む」
「ぼ……僕、考えてみるよ。それで良い?」
「ええ、ええ。もちろん良いわ!」
「それじゃあ、僕、もう寝るから」
ハリーはフラフラと男子寮へと続く螺旋階段を昇って行った。
ちょっと不安だったが、真っ向から否定されるよりよっぽど良い。
ハリーが居なくなると、ハーマイオニーがちょっと息を吐いてから改めてクリスを見た。
「クリス、ありがとう」
「私は何もしていないぞ?」
「貴女が居てくれるだけで良いのよ、ハリーは――いいえ、何でもないわ」
この時ハーマイオニーが何を言おうとしたのか、クリスには分からなかった。
結局ハリーが答えを出すまで、この話題に触れることは禁句となった。
それでも、口に出さずとも4人の心の中にはいつもこの計画が胸を占めていた。
クソガマガエルの目の届かぬところで、禁止されている呪文の習得をする。そう考えるだけでワクワクした。
ハーマイオニーの提案から2週間ほどの間、4人は今までにないほどぎこちなく接していた。
傍から見ればいつもと変わらぬ4人組だったが、クリス達はハリーがいつ色よい返事をくれるのかと内心期待していた。
そして、ついにその時がやって来た。
4人でスネイプの出した難しい魔法薬の調合を調べていた時、ハリーが薬草の辞典を見ながらふと口に出した。