第17章 【ハーマイオニーの計画】
翌日、ハリーの手の傷はクリスよりも酷くなっていた。しかしハリーはロンとクリス以外にはどんな罰則を受けているのか絶対に言わなかった。
見るに見かねたクリスは空いた時間で傷薬を調合すると、それをハリーの手の甲に塗ってあげた。
……こんな事くらいしか出来ないのが悔しい。あのクソババア、いつか痛い目を見せてやると心に誓ったが、具体的な案は何も出ないまま1週間が過ぎた。
ホグワーツに来て数週間、クリスの生活スタイルは決まってしまった。
徹夜で朝を迎えると、大広間で紅茶を1杯飲んでから授業に向かう。そして可能な限り授業中に睡眠をとる。
それからその日に出された宿題をハリー達にメモを取って教えて貰い、徹夜でそれを片付ける。そしてまた朝を迎える――の繰り返しだ。
最初は授業中に居眠りをしているとハーマイオニーの態度がきつくなったが、やがて何も言わなくなった。
言葉にしなくても、ハーマイオニーもクリスが悪夢にうなされて眠れない状況を分かってくれているのだ。
もちろん、効果のほどは置いておいて、魔法を使う練習もしていた。
これにはハリーやロンがクィディッチの練習の合間を縫って付き合ってくれた。
――と、言うより自分たちも上級生になって複雑になった呪文の復習をするついでだったりもする。
しかし、ベッドの中で独り寂しく杖を振るうよりも気分が楽だったので、クリスは不満の不の字もなかった。
ある日の事、いつもの様に寝不足で『変身術』の教室へ入ったクリスだったが、教壇の隅に座るアンブリッジを見て眠気が吹っ飛んだ。
とうとうマクゴナガル先生VSアンブリッジが目の前で見られるらしい。
アンブリッジの奴がどう料理されるのかと思うと、クリスはついつい持ち上がる口の端をおさせる事が出来なかった。
「それでは授業を始めます。その前に、皆さんに前回のレポートを返します」
先生はA・B・C順に生徒を呼び、レポートを返した。クリスのレポートには、上の方に『E』と書いてあった。
上から2番目の評価という事は、これも徹夜で勉強したお陰だろう。まあ、したくて徹夜で勉強をしたわけでは無いが。
次にマクゴナガル先生は生徒1人に1匹ずつネズミを配り、クリスにはマッチ棒を配った。