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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第17章 【ハーマイオニーの計画】


「でも教科書に書かれているもの全てが正しいとは私は思いません。むしろスリンクハード氏は呪いに自己の固定観念を用いており、公平な判断を欠いていると思います」
「公平な判断?教科書より正しいものがこの世にあるとでも?」
「ええ、教科書よりむしろ重きをおくべきは生徒の主体性だと思います」
「それは身勝手な判断です、ミス・グレンジャー。正しいのは魔法省が推奨する教科書であり、貴女の考えではありません」
「しかし――」
「グリフィンドール5点減点!」

 話しを打ち切るかのように、アンブリッジが甲高い声を上げた。
 もはや笑みは消え、飛び出たカエルの様な目でハーマイオニーを睨みつけている。

「良いですか?あなた方は今まで色々な先生にこの教科を教えられてきて、随分傲慢な考え方に偏っている傾向が見られますが、わたくしがいる限り、魔法省の指導要領に沿って勉強を進めていきます。当然、あなた方の自分勝手な自己主張を許しはしません。まあ……詐欺師や半獣、危険思想の持ち主に教えを受けていたのですから、自分勝手な考え方に染まっても仕方がないと言えば仕方がありませんが……」

 ガタッとハリーとクリスが立ち上がった。例え誰であろうと、ルーピン先生を馬鹿にするやつは許せない。もし#NAME1に魔法が使えたなら、間違いなくアンブリッジに対して呪いをかけていただろう。
 杖を握りしめて鋭い視線でアンブリッジを睨むクリスのすぐ隣で、ハリーがバカにした様に鼻で笑った。

「詐欺師、半獣、老いぼれ教師――先生、あと1人お忘れですよ。ヴォルデモートに頭を乗っ取られたクィレルって言う人を」

 まるで水を打ったように教室全体がシーンと静まり返った。クリスは横目でチラリとハリーを見たが、ハリーの視線はアンブリッジを捉えたまま動かない。
 いったいどれくらい経っただろう、アンブリッジは平静さを見せながら、短くこう言った。

「ミスター・ポッター。1週間の罰則を言い渡します」
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