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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第16章 【トレローニーに同情した日】


 まあ魔法を使う授業ならいざ知らず、この教科では運が良い事に知識が全てだ。クリスのレポートには上の方に『A』と書いてあった。
 まあ及第点と言ったところだろう。実際の試験でも今の調子で進み、これだけ取れればきっと大丈夫なはずだ。

 『魔法薬学』の授業が終わると、生徒達は昼食のため大広間に集まった。
 食事時だと言うのに、クリスは口にハムを運んだまま眠り込みそうになった。
 ビンズ先生の授業でも寝られず、まさかスネイプの授業で寝るわけにもかず、貴重な睡眠はこの後の『占い学』だけである。

 クリスがテーブルに頬杖をついて大あくびをしている隣で、ハーマイオニーが何やらそわそわしていた。

「どうした?ハーマイオニー」
「ねえ、あの……いえ、何でもないわ」
「なんでもなくないだろ、その態度は」
「だから、その……レポート返ってきたんでしょ?貴女……判定は何だった?」

 そんな事が聞きたかったのか。と、クリスは半ば呆れた。いや、ハーマイオニーにしてみれば、そんな事では無いのかもしれないが。
 クリスが正直に『A』と言うと、ハーマイオニーは嬉しそうなホッとした様な顔をした。

「わあっ、良かった!あっ、あら……でも、そうね、貴女が『A』以下のわけ無いものね」
「ハリーとロンは?」
「僕らに聞く?」
「一応礼儀として」
「ったく……『P』だよ、君の1コ下。つまり『良くない』だ」
「良かったじゃないか、『D』じゃないだけ」

 クリスがそう言うと、ハリーがロールパンをのどに詰まらせて咽た。何か言ってはいけない事を言ってしまったのかもしれない。
 そんな事を話していると、フレッドとジョージがやって来て元から騒がしい昼食の席が余計に騒がしくなった。

 クリスはつい眠気に勝てずウトウトと居眠りを始めた。体が限界まで達して眠る時は、有難いことに悪夢は見ない。それにこうやって皆が揃っていると、安心して余計に眠くなってしまうのだ。

 やがてチャイムが鳴り、昼休みが終わった。クリスはハーマイオニーに起こされ、ハリー達と一緒に北塔の天辺にある『占い学』の授業に向かった。
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