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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第16章 【トレローニーに同情した日】


 ハーマイオニーは今届いたばかりの『日刊預言者新聞』を広げた。そこにはあの憎たらしいアンブリッジが、ガマガエルそっくりの顔でデカデカと三面記事に載っていた。
 写真の真上には大きな見出しでこう書いてあった。――魔法省の新たな試み。ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官就任へ――

「どういう事!?」
「待って、今読むから。――昨今のホグワーツ魔法学校の教育方針に疑問を持つ父兄の声に応え、魔法省は新しい省令を決定した」

 ハーマイオニーが手にしている新聞に、ハリー、ロン、クリスは額を突き合わせながら覗き込んだ。そこには、こう書いてあった。

 ――これは8月31日に制定された教育令第22号『空席の教授職に候補者を配することが出来なかった場合、魔法省が適切な人材を派遣こととする』と言う省令に続いて、23番目にあたる。
 また、此度の教育令第22号の適正でホグワーツの『闇の魔術に対する防衛術』の教師に抜擢されたドローレス・アンブリッジには、新たにホグワーツ高等尋問官という職位を与えることとする。
 学力低迷が叫ばれるホグワーツの指導に直接関与し、魔法省をあげての学力の底上げを図る事が期待されている――。

「学力低迷!?あのババアの授業の方がよっぽど頭が悪くなるよ!!」
「黙って!!」

 ハリーを黙らせると、ハーマイオニーは更に続きを読み上げた。

「――具体的に高等尋問官とは、同僚の教育者を査察する権利を持ち、教師並びに授業の進行度が然るべき教育基準に達しているかを確認する、極めて客観的かつ公平な評価を下す責任重大な役目である。アンブリッジ女史に大臣自らこの職について打診したところ、女史は快く引き受け、「魔法省の一役人としても今のホグワーツの、ひいてはダンブルドアの判断を看過できない」とした。ダンブルドアといえば、かつては国際魔法使い連盟の上級大魔法使いであり、ウィゼンガモットの首席魔法戦士であったが、もはや勢いは衰え、正確な判断力を失い、あろうことか半獣のリーマス・J・ルーピンや――」

 ルーピン先生のを新聞でハッキリと「半獣」と呼んでいたことに、クリスはその場でぶちギレそうになったが、何とか自分を抑えこんだ。
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