第15章 【BAD NEWS】
「まあ冗談はさておき、実際アンブリッジの授業はどうだ?魔法省の役職を笠にやりたい放題か?」
「やりたい放題というか、何もやってないというか」
「つまらない教科書を読んでいるだけだ」
ロンとクリスがそろって答えると、シリウスが1人合点がいったようにうなずいた。
「聞いた通りだな。どうやらファッジは君たちに戦う訓練をさせたくないらしい」
「戦う訓練?」
「なにそれ!僕らが魔法省をやっつけようとしているって勘違いでもしてるの?」
「と、言うよりダンブルドアの私設軍隊を恐れていると言った方が正しいな。ファッジは魔法大臣と言う席に固執しすぎて我を忘れている。ありもしない罪を仕立て上げ、ダンブルドアをアズカバン送りにでもするつもりだ」
「でもそんな事をしたら――」
「もちろん我々騎士団は解散の危機に立たされる。そうならないよう色々と手を打ってると思うんだが――家から1歩も出られもせず、情報を集められない私からは何も言えない。騎士団のメンバーも、ここのところ誰一人顔を見せていないからな」
そう言ったシリウスの顔に、アズカバンを脱獄してきたときの様な陰が落ちたのを見た。
あの陰気な屋敷に、年老いた屋敷しもべと2人きりだと思うと、無理もないと思ってしまう。
シリウスの辛そうな顔を見て、クリスは胸が苦しくなった。
「それじゃあ、ハグリッドについての情報も分からない?」
「ああ、すまないが私には分からない。だがダンブルドアが特に心配していないようだから、大怪我を負ったりはしていないはずだ。何かあったら、ダンブルドアがすぐに察知する」
そうは言っても、実際にいつも目にしているはずのハグリッドの元気な姿を見ていないと、不安で仕方なくなってくる。
4人の落ち込む顔を見て、シリウスが笑顔で話題を変えてきた。
「ところで次のホグズミード行きはいつかな?犬の姿で会いに行けば、誰にもばれないと思うんだが」
「「「「駄目だっ!!!」」」」
突拍子もないシリウスの発言に、咄嗟にクリス達4人の声がそろった。
ハーマイオニーが心配そうに、例の記事の事を教えると、シリウスは笑って「私がどこに潜伏しているか、記事にするのはよくある事だ」とあっけらかんと言った。