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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第15章 【BAD NEWS】


「ああっ、クソ!」
「どこを間違えたの?直してあげるから見せてちょうだい」
「いいよ、お節介は止してくれ」
「こういうのは親切って言うのよ。ほら、見せて」

 ハーマイオニーはぐっとロンの隣に詰め寄って、書き直してばかりの汚れたレポートに目を通した。その間、ロンは暖炉に投げ入れた手紙の燃えカスを見ていた。
 と、その時、不機嫌そのものだったロンの顔が一変してマヌケないつものロンの顔に戻った。

「……シリウス?」
「はい?」
「気のせいかな?今、暖炉の火の中にシリウスの顔が見えた気がしたんだけど」
「疲れてるんだろ」

 気が付けば時刻は12時をとっくに回っており、談話室にはクリス達以外誰もいない。
 山の様なレポートとさっきの手紙で神経がまいっているんだと言うクリスの言葉を否定するように、ロンは椅子から跳ね起きて暖炉際で四つん這いになった。

 ハリーも気になったのか、羽ペンを置いてロンに続いて暖炉を覗き込む。クリスは視線だけを暖炉に向けた。すると――驚いたことに、本当に暖炉の炎の中にシリウスの顔が現れたではないか。
 シリウスはハリー達の顔を見ると、ニコッと笑った。

「やあ、良かった。無事に会えたようだ。1時間ごとに様子を見ていた甲斐があった」
「1時間ごとにって……」
「誰かに見られたらどうするつもりだったの!?」
「大丈夫だ、問題ない。ほんの一瞬だったからな。まあ小さな女の子……1年生かな?とは一瞬目があった気がしたけど、きっと目の錯覚だと思ったはずだ」
「錯覚って――自分の状況を分かっているの!?」
「はあ……君はモリーそっくりだな」

 怒りと呆れをもってシリウスを窘めるハーマイオニーに、シリウスはうんざりしたように言った。
 確かに、ウィーズリーおばさんなら、こんな危険な真似を許さないだろう。クリスでさえ半ば呆れて言葉をつむげずにいるのだ。
 ぽかんとしているハリーを見て、シリウスが面白そうに笑った。
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